小児科の看護とは、成人の看護とは全く異なるある意味異世界と呼ばれる領域。成人の看護師は口を揃えて「子どもは看れないよ~!」と話している場面に何度も遭遇しました。
私は新卒から4年間、15歳以下の全ての子どもが入院する小児病棟で看護師としての基礎ややりがい、挫折を味わってきました。現在は小児看護の世界から離れていますが、また戻りたいと思う分野です。
小児科の看護師を志す方は多いと思いますが、どうしても成人の病棟と比べると数が少ないため情報が少なく、なかなか踏み込めないという方も多いのではないでしょうか?
本記事では、小児科の看護師を志す方に向けて、小児科看護の概要や、やりがい、大変なポイント、忘れられない看護など経験者目線で感じていたことを余すことなくご紹介したいと思います。
小児科の看護師を志す方の参考になればと思います。
目次
- 小児科について
- 小児科看護師の仕事内容や役割について
- (1)小児科看護師の仕事内容と役割ついて
- (2)小児科看護師のワークスケジュール
- ①9:00~9:30 オペ出し、ラウンド
- ②9:30~10:00 点滴、ネブライザー処置、リーダーからの申し送り
- ③10:00~11:00 退院の子の退院出し、清拭、シャワー浴のケア
- ④11:00~11:30 オペ迎え、点滴変更、家族への説明
- ⑤11:30~12:00 オペ後のバイタル確認、創部の観察
- ⑥12:00~13:00 引継ぎをして休憩(食事介助が必要な子の依頼)
- ⑦13:00~14:00 休憩中の確認、お昼寝が必要な子どもの寝かしつけ
- ⑧14:00~15:00 ネブライザー処置、ラウンド、バイタル測定、環境整備
- ⑨15:00~15:30 おやつ、おやつ介助
- ⑩15:30~16:00 点滴処置、ネブライザー処置
- ⑪16:00~16:30 記録、緊急入院対応があれば対応
- ⑫16:30~17:00 オペ後の初回歩行の付き添い、家族に今後の流れの説明
- ⑬17:00~17:30 記録、申し送り
- 小児科看護師のやりがい3選
- 小児看護師の大変ポイント4つ
- 元小児科看護師が忘れられない看護場面3選
- 小児科看護師が働く職場3選
- 小児科の病院以外で子どもと関わる職場4つ
- 小児科看護師に向いている人の特徴3つ
- 小児科看護師になるために必要な資格と平均年収について
- 小児科看護師は奥が深くてとっても楽しい!
小児科について
ここからは、小児科について詳しくご紹介します。
(1)小児科は中学三年生まで対象
小児科とは、産まれたての新生児~中学卒業の15歳までの子どもを診療する科です。多くの小児科には、NICU・GCUを併設していて早産時とそのご両親のケアも行っています。
病院にもよりますが、基本的に小児科に該当する子どものあらゆる治療は小児科で行われています。
(2)小児科で扱う疾患は基本的に全ての領域
小児科というと、喘息や肺炎、インフルエンザなどの内科的な入院が多いと思われがちですが、脳外科や整形、泌尿器などの疾患がある子も小児科での入院となります。
小児科以外の診療科の子どもの主治医は、成人病棟の医師であるため、他病棟の医師が小児科まで診察をしたり、他病棟から指示が飛んできたりします。
看護師A「全ての診療科となると、勉強が追い付かない…」
と不安に思う方もいるのではないでしょうか?
確かに、勉強は必要ですが、子どもの治癒力は早く大体3~4日、長くても1週間前後での退院となります。
よほどのことがない限り、看護展開はシンプルでスピーディなので、複雑ではありません。
そのため、成人のような複雑な看護展開はほとんど起きないと言っていいでしょう。
しかし、小児科の看護師としてオールラウンドな知識を持っているのはとても有利な武器となります。
少しずつでも知識を深めていくのをおすすめしています。
子ども専門の病院の場合は、診療科によって病棟が分かれるので疾患の知識を深めるための学習は必須です。
就職する病院に合わせた学習方法を選択する必要があります。
小児科看護師の仕事内容や役割について
ここからは、小児科看護師の仕事内容や役割についてご紹介します。
(1)小児科看護師の仕事内容と役割ついて
小児科の看護師は、基本的に成人病棟の看護師と仕事内容の差はありません。しかし、看護をする相手が子どもという所で、関わり方に差が出てきます。
入院している子の中には、保護者が常時付き添えない子や、病院自体が付き添いを許可していないことも。
時には、看護師は子どもの保護者の代わりになりますし、遊び相手にもなります。
①子どものケア
子どもは大人と違い、自分の体調の変化を言葉で言えません。また、恐怖心から大人を見るだけで号泣してしまう場合も。
そういった中で子どものケアを行います。短時間で確実な観察を行い、子どもが入院スペースに対して、少しでも安心できるような関わりを行っていきます。
医師の診療の補助、清拭や点滴の基本的なケアはもちろん、子どもが事故を起こさないように注意を払います。
・モニターや点滴チューブが適切な位置にあるか
・ベッドから乗り出して転落につながるような高さのおもちゃがベッド内に無いか
・誤飲してしまう大きさのおもちゃが手の届く場所にないか
など、常に子どもの傍にいれないため、一瞬離れるだけでも大きな事故に繋がりかねない小児科では常に細心の注意を払います。
子どもが安心できる心のケアはもちろん、事故が起きないように環境整備の徹底が子どもの命を守ります。
特に病院は忙しい現場で思うように子どもと関われない場面もあるでしょう。だからこそ、子どもの安全を守る環境作りが大切になってきます。
②オペ前・オペ後の対応
小児科では、耳鼻科や整形外科の子ども達のオペが多く行われます。
夏休みなどの長期休暇のタイミングでは、入院している半数以上が耳鼻科のオペをする子ども達になり、小児科看護師の夏が来たと実感するタイミングです。
小児科の看護師は、オペ前、オペ後の対応が必須となります。成人と異なるポイントは、保護者の意向がとても重要という点。
今はあまり推奨されていませんが、保護者によっては
「手術とは言わず、ちっくんをすると伝えてください」
「手術ではなく、悪いものを取ると言ってください」
と依頼される場合があります。
看護の主役は子どもですが、その子どもの家族も大切な看護の対象者です。子どもの性格や特性によっては、家族の思いを優先します。
オペ後の子どもは痛みや麻酔の眠気から不機嫌になることも多いです。保護者に添い寝してもらったり、ベッドに座った状態で抱っこをしてもらったり、子どもが少しでも安心して休める環境を作るための声かけが大切な看護となります。
③プレパレーション
大人にはインフォームドコンセントという治療に対する理解を得る関わりがありますが、子どもにはインフォームドアセントという大人と同じように治療内容を分かりやすく説明し、子どもも納得してもらう関わりが必須です。
子どもは言葉では分かりにくいため、絵本や人形を用いて分かりやすく解説するプレパレーションという関わりが大切です。
慣れない場所で宿泊、治療を受ける子どもが自分の入院生活をイメージし、少しでも安心して過ごせるよう分かりやすく伝えるのは、小児科看護師の腕の見せ所です。
その子どもの好きなキャラクターの人形を使うなど工夫をして、緊張を解けるよう関わりを持っていきましょう。
④アレルギー負荷試験の対応
子どもの食物アレルギーは、以前は完全除去が一般的でしたが、現在はその子どもの許容量を食べ続けるのが第一選択の治療です。
その許容量を確認する、許容量を増やす目的でしばしば小児科では日帰り入院でアレルギー負荷試験を行っています。
基本的にアレルギー負荷試験では、医師と看護師が1名ずつ付き添い、時間で決められたアレルゲンを摂取していきます。
急なアナフィラキシーが起きないように注意して進めていきますが、万が一のことを考えながら進めていきます。
⑤緊急入院・手術の対応
小児科は緊急入院の数が成人病棟に比べると多いです。多いときは日勤帯だけで、5~7人、夜勤帯で6人の入院が来たこともあります。
入院だけでなく、急性虫垂炎の治療目的で緊急の手術を行うケースも。
そのような緊急の対応が多いのは小児科看護師ならでは。急な環境の変化に、子どもも保護者も戸惑いを隠せない方が多いので安心できるような声かけが必須となります。
⑥家族のケア
小児科看護では、子どものケアはもちろんですが家族のケアが必須になります。
患者の中には重症患者もいるため、不安定な体調の中面会をしている家族は「我が子が元気にならなかったらどうしよう…」と不安の中誰にも気持ちを表出できない保護者もいます。
そのような家族に少しでも気持ちを表出し、楽になってもらうためには看護師の存在は欠かせません。
家族が面会していない時間の子どもの様子を伝えて、少しでも安心に結びつく関わりをすると保護者の不安感は和らぎます。
家族の治療に対する思いや、「医師に言えないけどこんなことをしてあげたい」という希望を汲み取り、医師に相談するのも大切な家族のケアです。家族とチームで子どもが元気に退院できるように関わりを大切にしていきましょう。
(2)小児科看護師のワークスケジュール
ここからは筆者が小児病棟で看護師をしていたときの日勤帯のワークスケジュールをご紹介します。
①9:00~9:30 オペ出し、ラウンド
子どものオペは9:00入室が多いので、オペの子どもを受け持つときは基本あさイチでオペ出しをします。その後で他の受け持ちの子のバイタルを含む健康状態を確認します。
②9:30~10:00 点滴、ネブライザー処置、リーダーからの申し送り
抗生剤の点滴や、喘息の子は定時でネブライザー処置があるので薬剤の準備や対応をします。バタバタとこなしていると、リーダー看護師から声をかけられて点滴の指示の変更などの変更に対応します。
③10:00~11:00 退院の子の退院出し、清拭、シャワー浴のケア
退院予定の子は私の働いてた病院では10時を目標に退院をします。忘れ物が無いか確認をして元気になった子を送り出した後は、清拭やシャワー浴の介助を順番で行います。フリーの看護師がいれば手伝ってくれることもありました。
④11:00~11:30 オペ迎え、点滴変更、家族への説明
オペが終了すると、オペ室から連絡が来るので、家族と一緒にお迎えにいきます。子どもによっては泣いてしまっている場合もあるので臨機応変に対応します。
家族はどう関わっていいのか戸惑う場合もあるので、術後の関わり方や安静を保つためにして欲しいことなどを説明します。
しばらくはこまめに訪問するというのもお伝えし安心して貰えるよう関わります。
⑤11:30~12:00 オペ後のバイタル確認、創部の観察
オペ後のバイタル測定の頻度は成人と変わりません。しかし、中には泣いて上手く血圧を測れない子も。その時は水銀血圧計を使用し、耳を研ぎ澄ましてなるべくすぐに終わらせられるように配慮をしていました。安静を取るのが難しいからこそ創部の確認も細かく行います。
⑥12:00~13:00 引継ぎをして休憩(食事介助が必要な子の依頼)
交代で休憩に入ります。最低限のことを依頼します。
⑦13:00~14:00 休憩中の確認、お昼寝が必要な子どもの寝かしつけ
休憩中に変わったことがないかを確認し、お昼寝が必要な小さい子は寝かしつけを行います。付き添いがいる家庭は、適宜声をかけて困っていることがないかを確認します。
⑧14:00~15:00 ネブライザー処置、ラウンド、バイタル測定、環境整備
午後のネブライザーやバイタルの確認、異変が無いか子どもたちとコミュニケーションを取りながら確認します。なぞなぞ大会がいきなり始まる場合も。落ち着いているときは子どもたちのなぞなぞに全力で答えたり、折り紙で遊んだりします。
⑨15:00~15:30 おやつ、おやつ介助
小児病棟ではおやつの時間があります。自分で食べられる子には配膳を行い、介助が必要な子は介助をして、みんながスムーズにおやつを食べられるように関わります。
⑩15:30~16:00 点滴処置、ネブライザー処置
夕方の抗生剤の点滴と、ネブライザー処置を行います。他の科の医師が訪れる場合もあるので日中の様子を伝えることもあります。
⑪16:00~16:30 記録、緊急入院対応があれば対応
緊急入院は時間を選ばず来ますが、緊急入院があれば対応をします。無ければ1日の受け持ち患者の様子を記録にまとめていきます。
⑫16:30~17:00 オペ後の初回歩行の付き添い、家族に今後の流れの説明
私の勤めていた病院では、日勤帯でベッド上安静が解除になるオペが多くありました。そのため、初回歩行と腸蠕動音の確認、飲水の確認を行います。無事にできたら、夜勤者に引継ぎをしていきます。
⑬17:00~17:30 記録、申し送り
残りの記録を済ませ、夜勤者に申し送りをします。保護者の不安感が強い、不安からナースコールが頻回といった情報も伝えていきます。
オムツ交換やミルク、ナースコールというのはよくあるので省いていますが、適宜対応しています。あのパズルやりたいから持ってきて、プレイルームに行きたいといった子どもならではの要望が多く、可愛いなと癒されていました。
小児科看護師のやりがい3選
小児科の看護師は臨機応変な対応が求められますし、雑務を含めた業務量は多いと思います。しかし、とてもやりがいを感じます。ここからは、小児科看護師のやりがいを感じるポイントを3つご紹介します。
(1)子どもが元気になり退院するとき
やはり、子どもが元気になって退院する瞬間は、私達看護師の肩の力がスッと抜ける一番の瞬間です。退院後の自宅での生活で気を付けて欲しいことを保護者に伝え、安心して退院してもらえるように関わります。
(2)看護展開が早いため自分の看護がダイレクトに反映する
看護展開が早いのは小児看護ならではだと思います。
喘息や肺炎などの呼吸器疾患で入院している子は、一回の体位交換や吸引でも状態が大きく変わる場合があります。自分の関わり1つで状態を良くできるので、より丁寧に観察、ケアを行うようにしていました。
(3)子どもや家族と信頼関係を築けたとき
入院している家族の多くは、入院・治療という現実にナーバスになっているケースが多くあります。
大切な我が子が家族と離れて治療を受けなければならない現実を受け入れるのに時間がかかり、ピリついた空気が病室を漂うケースも少なくありません。
しかし、家族も看護師も目的は「子どもが元気になって退院をする」ということ。看護師が子どもを大切に思う気持ちは、家族に必ず伝わります。
コミュニケーションを大切にし、積極的に声をかけ続けると信頼関係の構築に繋がり、家族や子どもの笑顔を引き出せます。
子どもや家族と信頼関係が築け、元気に退院する姿を見られる瞬間ほど小児科の看護師をしていて良かったと思っていました。
小児看護師の大変ポイント4つ
楽しい小児科看護師の仕事ですが、やはり看護師という仕事なので大変な仕事もあります。ここからは、小児科看護師の大変ポイントを4つご紹介します。
(1)急変や入院が多い
小児科は元気になる経過が早いのですが、症状悪化のスピードも早いです。そのため、入院している子の急変や緊急入院も多いのです。
タイミングが重なると急変や緊急入院がバタバタと相次ぐので、その場面に立ち会うと勤務時間は一瞬で過ぎ去っていきます。
(2)家族によっては信頼関係を得るまで関わりが難しい
基本的には穏やかな家族が多いですが、やはり人との関わりなので中には関わりづらさを感じる家族もいます。
しかし、実は子どもが急に入院をして不安でいっぱいだった、自分が焦って上手く関われなかったというケースも多いので、ファーストコンタクトだけで判断しないようにしましょう。
(3)夜泣き対応
小児科で入院している子どもの中には、保護者が夜間付き添いをしない家庭もいます。その場合、子どもは一人でベッドに寝ることになります。
中には不安からなかなか寝付けず、夜泣きを繰り返す子も。夜泣き対応も看護師の仕事なのでベビーカーや抱っこ紐などで対応します。
他の受け持ちの子どもを見ながらの夜勤対応は、少しハードさを感じる人はいるかもしれません。
(4)成人の看護スキルは身につかない
小児看護と成人看護では、患者さんとの関わり方が大きく異なります。例えば、成人と小児では使用する薬剤の種類も量も全く異なります。
また、採血や点滴などの看護師が行う技術も小児になると血管が細く難しいため全て医師が対応します。
また、成人相手の体位交換や移乗も看護師が2~3人が必要になる場面ですが、小児だと一人の力で間に合うので、学校で学んだボディメカニクスを使用しなくても看護が可能です。
小児科の看護師になると成人看護をやりたいと思った際に「自分は使えない看護師かも…」と不安になりがちですが、心配する必要はありません。
成人看護を行う上で最初は戸惑うことが多いと思いますが、小児科看護で培った観察力と臨機応変な行動力は成人に行っても大きな力となるので心配しなくて大丈夫です。
元小児科看護師が忘れられない看護場面3選
ここからは、小児科看護をしていて今でも心に残っている看護場面を3つご紹介します。
(1)暴言ばかりの5歳の男の子
私が看護師3年目のときに、交通事故で大腿骨を骨折し長期入院をしていたA君という5歳の男の子がいました。事故のストレスなのか常に気性が荒く、病棟でも問題視されていました。
私が受け持ちの際も、トイレの移乗で「痛ぇよ!嫌だ!動きたくない!やめろ!」とことあるごとに怒鳴られていました。彼が常に怒っているのは本当に痛みがあるからなのか?と考え、師長を交えてA君とA君のママと4人で話し合いました。
すると、A君から
A君「ママにもっと優しくしてもらいたい。赤ちゃんになりたい」
という言葉が。この発言にA君のママはビックリしていました。
結果、A君は自分の気持ちを表出でき、少しづつ病棟で落ち着きを取り戻していきました。
私とも信頼関係を築き、シャワー浴は私が介助するなら承諾してくれるように。その後無事に退院されました。
子どもだから仕方ないねと終わらすのではなく、その行動の原因を探る大切さをA君から学び今でも大切にしています。
(2)呼吸器管理が必要になった生後6か月の赤ちゃん
大人ではただの風邪程度の症状で済むRSウイルス。気道の狭い子どもは重症化しやすい疾患として、RSウイルスで入院する子どもは多いです。
RSウイルスで入院してきた生後6か月のBちゃんは最初は大事をとって入院になりました。
ニコニコとした笑顔が可愛くて、ケアをするのがとても楽しかったです。
そんなBちゃんは、とある日の日勤帯に急変してしまいました。鼻水が増え、気道を圧迫し呼吸が上手くできず、SPO2の値がどんどん低下してしまい呼吸器管理となりました。
私はその日の夜勤だったので、病棟にきて驚きを隠せなかったことを、今でも鮮明の覚えています。
小児科は回復のスピードは早いですが、病状が悪くなると一気に悪化します。
結果、私の病院よりももっと大きな病院でケアを受けた方が良いという流れになり、県内の大きな病院へ転院しました。
どうかBちゃんが元気になりますように。と祈った2日後。Bちゃんが私の勤めている病院に帰ってきたのです!
呼吸器は外れてすっかり良くなり、再びニコニコの笑顔を見れました。
その後Bちゃんは病状は安定し、無事に退院されました。
子どもの回復力の速さに驚いたのはもちろん、些細な変化も見逃してはいけないと改めてBちゃんから学びました。
(3)長年入退院を繰り返していた20歳の女の子のお看取り
私の勤めている病院ならではかもしれませんが、重症心身障がい児のお子さんは年齢が小児科の適応で無くなっても引き続き小児科で対応していました。
重症心身障がい児(重身と称します)のお子さんは免疫力が低く、繰り返し入退院を繰り返します。20歳のCさんも私が新卒の頃から入退院を繰り返していました。
とある夕方、後輩と「そろそろ定時だね」なんて雑談をしていたところ、Cさんが入院すると医師から連絡がありました。
今回もいつものような入院かな?と思い、よくCさんが使用している病室で入院準備を進めていたところ、また医師から連絡が。
医師「お看取りになるからナースステーションから一番近い病室を空けて」
と衝撃的な内容でした。病棟にいた看護師は状況が理解できず、言われるがままに準備をしました。
病棟に上がってきたCさんとCさんのお母さんは落ち着いていましたが、Cさんは普段より血色が悪く少し辛そうでした。
今までも体調が悪く入院してきたのに、なぜ今日お看取りなのか?と状況を飲み込むまでに時間がかかりましたが、CさんとCさんのお母さんが少しでも最後の時間を穏やかに過ごせるよう2人の空間を作り見守りました。
小児科でお看取りをする回数はとても少ないです。だからこそ、1回のお看取りのダメージが多く看護師の記憶に強く残ります。
最後まで家族の形を考え、家族が納得できる時間を提供しようと強く思いました。
小児科の看護師をしていると辛い場面もありますが、自分の看護次第で子どもや家族を幸せにできる素晴らしい仕事だと思っています。
小児科看護師が働く職場3選
ここからは、小児科看護師が働いている職場を3つご紹介します。
(1)総合病院
一番代表的なのは、総合病院です。小児科看護師として働きたい方はまず総合病院の小児科で多くの症例や看護技術を学び、経験を積むのをおすすめしています。
①小児病棟
総合病院の小児病棟は小児科以外の疾患も幅広く経験できますし、オペ数も多いのでテキパキ働きたい人にはピッタリの職場です。
②NICU・GCU
多くの小児病棟では早産児や低出生体重児の看護をするNICUやGCUが併設されています。早産児や低出生体重児の看護は奥が深くて1つの看護を深めたいと考える人におすすめです。
また、両親へのお世話の指導や、ママへの授乳指導があるので家族との距離もとても近いです。家族看護が好きな私はとてもやりがいを感じていました。
(2)こども専門病院
こども専門病院とは、入院している患者が全て小児です。診療科も細かく分かれていて、総合病院で治療が難しい疾患の治療を行っています。
こども専門病院は新卒の受け入れは積極的に行っていますが、中途採用は小児科看護師の経験が無いと内定が難しいケースも。
もし、こども専門病院で働きたい場合は、病院の募集要項をよく確認してから応募しましょう。
(3)小児科のクリニック
小児科のクリニックは、病気の診察の補助のほかに検診の対応やママからの育児相談に乗ることも。病院のような看護技術はないですが、夜勤がないので時間できっちり働きたい方におすすめです。
小児科の病院以外で子どもと関わる職場4つ
ここからは、病院・クリニック以外で子どもと関わる職場を4つご紹介します。
(1)児童養護施設
子ども達の生活の場である児童養護施設。子ども達がスムーズな生活を送れるように関わり、ときには指導をし安全な生活を提供する仕事です。医療行為はありませんが、在宅に興味のある方へおすすめです。
(2)保育園
近年、保育園に看護師が在籍している園が多く増えました。保育の補助から子ども、職員への保健指導まで業務内容は多く、やればやるほど面白さを感じる仕事です。
保育園看護の素晴らしさは、子どもの成長発達を見守れる所や子ども達と遊ぶ時間が沢山取れるという所。
子どもと遊ぶのが好きな人は保育園看護師に向いていると思います。
(3)乳児院
乳児院は、様々な家庭の事情で家族と離れて暮らす就学前の子どもを保護する施設です。新生児~就学前までの子どもと関われます。
家族と子どもの関係を良い方向に持っていく関わりなど、病院やクリニックでは得られないやりがいを感じられます。
(4)重症心身障がい児施設
重症心身障がい児施設は、心と身体に重い障がいを持つ子達が家族と離れて暮らしている施設を言い、職員は24時間体勢で子どもの安全と健康を守ります。
食事介助やオムツ交換、胃ろうからの栄養注入など日常的な生活の介助やバイタルサインの確認、体調悪化時の対応など病院に近い仕事内容になります。
しかし、病院のような点滴管理は無いので医療技術が不安な方でも安心して働ける職場です。
小児科看護師に向いている人の特徴3つ
ここからは、小児科の看護師に向いている人の特徴を3つご紹介します。
(1)コミュニケーションが好き
看護師といえば、コミュニケーションは大切な看護の1つです。特に小児科は子どものみならず、家族とのコミュニケーションがより重要となる場面が多いです。
家族と関わるのが好き、看護技術はもちろん、コミュニケーションで前向きになってもらいたいという思いのある方は小児科看護師に向いているといえます。
(2)観察が得意な人
子どもは大人と違い、自分の要求や苦しい、辛いを看護師に言えません。そのため、看護師の観察がとても重要になります。
観察が好き、得意という方は小児科看護師に向いていると言えます。
もし、観察が得意じゃないけど小児科看護師になりたいと思う方は、実践を経て少しずつ経験を踏めば必ず技術は上がりますので、心配しすぎないでくださいね。
(3)声のトーンや表情、性格が明るい人
小児科の看護師は、成人の看護師に比べて見た目も話し方も穏やかな人が多いイメージです。小さな子どもが安心できるような声のトーンや表情ができる人や、性格が明るく子ども受けする人は小児科看護師に向いています。
小児科看護師になるために必要な資格と平均年収について
ここからは、小児科看護師になるために必要な資格と平均年収について詳しく解説していきます。
小児科看護師になるために必要な資格は看護師資格のみ
小児科看護師に必要な資格は、正・准看護師資格以外は必要ではありません。もっと小児科看護を極めたい!と考える人は小児の認定の資格を取ったり、専門看護師の資格を取ったりする人もいるでしょう。
まず小児科の看護を学びたい!という人は急いで取得する資格はありませんので、安心してくださいね。
小児科看護師の平均年収
小児科看護師の平均年収は、総合病院の場合は成人病棟の看護師との差はありません。
総合病院だと新卒で400万、ある程度の経験年数のある看護師だと500万は超えます。
小児科だからといって、年収が大きく変動することはありません。
反対に、クリニックでは一般的なクリニックと小児科のクリニックを比べると年収がやや低い傾向があります。しかし、クリニックごとによって収入は大きく変わるので求人票をよく確認しましょう。
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小児科看護師は奥が深くてとっても楽しい!
小児科看護は深めれば深めるほど奥が深く楽しいですし、本当にやりがいを感じる仕事です。
スムーズに退院できるように関わるのは大変なこともありますが、子どもや家族の安心した顔、退院していく姿を見送るのは何にも代えがたいものです。
小児科看護師を目指す方の参考になれば幸いです。あなたの小児科看護師になる夢が叶いますように。
看護師が転職に踏み切れない理由についてはこちらの記事で詳しくご紹介しています。
元看護師の筆者が転職で後悔した事例についてはこちらの記事でご紹介しています。
<ライタープロフィール>乃原 志帆
アラサー1歳児のママ/新卒から看護師として働き総合病院(小児科・NICU・GCU・婦人科・皮膚科)訪問看護(精神科)クリニック(皮膚科)保育園での勤務経験を積む/家事のナイトルーティンで日々のストレスを発散するのが好き/のんびり暮らしたいせっかちさん