第3回目のインタビューを受けてくださったあみさんの「妊娠・出産で断たれたキャリアと昇進【インタビュー連載】家族とキャリアと私(3)」後編。
大学を卒業し入社した会社では、幹部候補として男性の中に交じり第一線で活躍するキャリアウーマンだったあみさん。前半は妊娠・出産によるキャリア断絶と復職後の働きづらさなどについてお話を伺いました。後半の今回は、つらい状況を乗り越えるヒントになったことや、経験をもとにご自身の訪れた変化など、お話を伺いました。
<前編>はこちら
ネットで同じ立場の人を見つけて力にした
―妊娠・出産で昇進の話がなくなり、復職後は軽量化された仕事を与えられるようになってしまった。そんな状況下でも、産後10年以上ワーキングマザーとして働き続けてこられたんですよね。どうやって乗り越えましたか?
同じ状況の人を探すつもりは全くなかったんですけど、最初は他のワーキングマザーはどうなんだろうって、ネット検索をめちゃくちゃしました。
当時SNSはそんなに主流ではなかったので、検索窓で「ワーママ やりがい」とか「ワーママ 仕事」で検索してみたり、Yahoo!知恵袋とか。他を知ったところで、何か変わるわけではないのは分かっていましたけど、自分だけじゃないっていうのは心のバランスを取るのには何だかんだ一番力になっていたのかもしれません。
結局2人目を妊娠するまではもんもんとして過ごしてましたが、2回目の復職では同じ立場のワーキングマザーの方がいて。そこでも、気持ちを共感し合える人がいるってワーキングマザーにとってすごい力になるなと感じました。
―それは大いにありそうですね。1回目の復職でしんどい思いをされた業務内容やタスクの割り振りにも変化がありましたか?
部署も変わったので、与えられる仕事自体が変わりました。部署と職種が変わっちゃったので…復職前はすごくドキドキしていましたが配属先は新規部署だったのでやりやすさはありそうだなと思い、少し安心していました。
あとは仕事の内容よりも、一番大きかったのは時短勤務と子供のことで休むことについてその補い合いを彼女と出来たこと。お互いの状況や心情まで理解しながら、時間的なリスクマネジメントを行っていけたので、独身時代の営業第一線ではない仕事だけれど、仕事的にも気持ち的にも安定して業務に取り組むことが出来ました。
ただ、私たちはたまたまワーキングマザー同士でしたけど、これって本来立場がどうあれできることじゃないかなってあとから気付きましたね。最初の復職って何だったんだろうって今なら思いますよね。
自分の「人材」としての質が変わっていた
―同じ立場の方は心強いですね。そして、それをすぐリスクマネジメントに活かしているのがすごいです。一方で、当初のキャリアであった営業職への想いはどうなっていたんでしょうか。
営業職への想いはもうなかったです。多分断ち切ってはいなかったけど、ワーママとして扱われることにも慣れたというか。もともとなるべくポジティブに考えるタイプですし、2回目は心機一転頑張ろうと完全に切り替えました。
ちなみに、1回目の復職も暗くなったり後ろ向きになったりまではしませんでしたし、与えられた仕事はきちんとこなしていましたよ。ただ、もともとヤル気マンマン社員の筆頭レベルだったのに、なるようにしかならないや~っていう考えになっていたので、人材の質としてはめちゃくちゃ変わっちゃってたんでしょうね。
―それって実は企業にとってはすごい損失なのでは?
そう言っていただけるとありがたいですし、私自身が妊娠前にチームリーダー経験があり、今この年齢になってマネジメントする機会も増えたのですが、私ならヤル気があってできることがある社員は組織でめいいっぱい活かしたいと思うんですよね。
妊娠含む体調のことはちゃんと共有してもらって、その中でその人が100%、120%活き活きと力を発揮してくれる方が絶対プラスだと思う。あの時から10年以上経って、そういうのは妊娠・出産に限らず対応していくことが社員の働きやすさであり、企業にとっても結果としてプラスでもあると感じています。何よりみんなが幸せですよね。仕事って、別につらい思いしながらやるものじゃなくていいんですから。
ワーママの立場で経験したことを未来のマネジメントに活かす
―自分が受けたマネジメントで感じたご経験を、今度はマネジメントする側として活かしているということですね!
当時はなるようにしかならないと自分の置かれる環境に合わせていくしかなかったですが、その経験が私の他人に対する視野を変えたことは間違いないです。
私は働くことが好きですし、誰かとチームを組んで進める仕事もすごく好きです。楽しいんですよね。
その時に、メンバーが理不尽な評価とか扱いで持っている力を発揮できないのはすごく意味のないことだと思います。私はそこまで大きな責任あるポジションに就いたことはまだないですが、部署のチームぐらいだったら社員同士で裁量をもって色々調整できるじゃないですか。
もうアラフォーも近いので年齢的にも頼られたり、決定権を持たせてもらう立場のことも多い。だからチームのメンバーが力を発揮できて、毎日楽しく働けることをまず第一に考えます。
―そんなチームで働けたらポテンシャルを100%でも120%でも発揮できそうです!不可抗力でのマイナス評価は仕事のモチベーションに影響しますよね。
もちろん会社では利益を出すことが一番大事です。でも、毎日仕事や会社がつまらないって本当に時間の無駄で不幸なこと。
私が子供を産んで自分の時間が全然ないっていうのを経験したことも大きいのかもしれませんけど、機会があればそういう意見を言ったり呼びかけることは本当に多いです。
男性は子供ができたことで仕事における考え方にそこまで影響あるのかな?聞いてみたいですけど。
私の経験上は、どの雇用形態のメンバーでも、そのほうが能動的に動いてくれたり、結果として事業のプラスになることが多かったです。
―お話に一貫性があり、辻褄もあっていてすごく納得しました。歴史あるワーママ人生(!)を起承転結で聞かせていただきありがとうございます。最後に、何か一言あればお願いします!
私の社会人歴15年を語らせてもらっちゃいましたね。
結婚はともかく、妊娠・出産・子育てを仕事と両立してやってきたことは私の人間性や考え方まで変えました。変えたというか、それが必然だったのかな。
自分で言うのもなんですが、こうしてインタビューで話せるネタ?があるほど、濃密で濃厚な人生史だったんだと思いたいです。独身と同じままで働き続けてもこの経験と考えに至ることはなかったでしょうから。
もしかしたら自分の価値観以外は認めない、超怖いお局様になってたかもしれない!(笑)
やる気がある中でキャリアを絶たれたり、扱いが激変してしまったりとつらい状況もあったであろうあみさん。
しかしその経験から学びを得て、さらにそれを元に他者との関わりやチームメンバーへの思いにスライドさせて考えることができるあみさんのバイタリティとパワフルさ。大変な中でもそれを未来の力に変える姿には大きなパワーを感じました。
<編集後記>
妊娠・出産や子育てが女性のキャリア形成にマイナスに働くこともあるという一例をお話してくださったあみさん。
これから妊娠・出産を控える女性たちの多くも、育児と仕事の両立にこうした不安を抱えている方は多いのではないでしょうか。
厚生労働省の「国民生活基礎調査(平成30年版)」 によると、母親の就労状況について、末子の年齢階級別に年次推移をみると「正規の職員・従業員」「非正規の職員・従業員」ともに上昇傾向となっています。
また、男性の育児休暇取得、時短勤務、コロナ禍における新しい働き方など、「自分らしい働き方」を模索する方も増え、その選択肢も増えてきていることも事実です。
その時に、あみさんのような体験からマネジメントを行っていくことは、企業にとって大きな力となっていくと感じました。
取材・文:A.O
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