#キャリア 2021/05/14

妊娠・出産で断たれたキャリアと昇進【インタビュー連載】家族とキャリアと私(3)前編

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社会の仕組み、育ってきた環境、教育、メディアなど、さまざまな影響に縛られている私たちが
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We must be free!をテーマに、様々な女性のストーリーをご紹介するインタビュー連載「家族とキャリアと私」。ひとりひとりの人生にフォーカスし、女性のあらゆる選択と生き方を肯定する人気シリーズです。

 

第3回目のインタビューを受けてくださったあみさん

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あみさんは30代後半のママさん。
現在、小学4年生と6年生姉妹のママで、広告会社で10年以上正社員として働いてきたワーキングマザーです。

都内在住のあみさんは、東京の大学を卒業後、数千人規模の企業で営業職として社会人生活をスタートさせました。
入社後は幹部候補として男性の中に交じって第一線で活躍するキャリアウーマンだったそうです。

妊娠により断たれたキャリアと昇進

―社会人デビューからバリキャリの道を歩む中で結婚と妊娠をされたということですが、独身時代はどんな働き方をされていたか教えてください。

就職してからずっと外回り営業や大口顧客専門の内勤営業など営業職を担当していました。毎日8時前から出社し21時過ぎまで顧客対応と付随する仕事に追われる日々でした。

女性の営業職は少なかったですが、私は女性にしては体力があり外回りや顧客対応もできて売上も作れる。自分でも自分の強みは自覚していましたし、6人チームのリーダーも任され、会社の評価は順調。上司からは社内で最速の昇進をしてもらおうと思っていると声をかけられており、色々任せていただいているのを私自身も感じていました。

とても忙しかったですが、顧客のため、チームのため、売上のためにできることを第一に考えてやりがいある日々を過ごし楽しかったです。

―充実した日々の中、25歳で婚約、26歳で第一子出産ということですが、大卒でキャリアを築く女性としては早いほうではありませんでしたか?

学生時代から7年付き合っていた彼がいたので、結婚は早くするつもりでした。
逆に毎日忙しすぎて3年もそうして働いてきたから、結婚したくなったのかもしれません。なんか、これ言っててひと昔前の男性っぽい考えだなって今思いましたけど…バリバリ外回りの営業職だったので家庭での癒しが欲しかったのかな(笑)

結婚も出産も同じような経歴の友人達と比べると早いと思いつつも、母も私を24歳で出産していて、出産適齢期として20代真ん中で一人目を産むのはいいことだと思ったので順調な流れかなと思っていました。

そのまま仕事も続けるつもりでしたが、妊娠したことで会社の扱いは一転したんですよね。

―早いと思いつつも、しっかりと考えた上での結婚・出産だったんですね。でも、会社はポジティブに受け取ってくれなかったということでしょうか?

まず、妊娠したら「退職する人」と同様の扱いというか…。すぐにそういうポジションになっていくのを感じました。実際、産休・育休に入るわけなので理解しながらも、昇進の話もあっという間になかったことになったのはガッカリしました。
ああ、妊娠が仕事の評価に影響するんだなと。仕事ぶりや私の職歴とは全然関係ないのに。

―そのことを会社に聞いてみたり、相談することはしなかったのですか?

今なら理不尽でおかしな話ってわかるんですが、当時社会人4~5年目で自信を持って「これはおかしい」と思うこともできなかったし、たとえ思えたとしても会社でそこに言及するには若すぎました。会社で力もなかったですしね。

社風もそういうのが当たり前だったというか。同期の男性はそのあと昇進していったので、悔しさと違和感を感じつつも、そこに私も洗脳されてしまいました。とにかく「仕方のないこと」で納得するしかなかったんだと思います。

外回りの営業職で幹部候補としての入社。同期の男性と同じ仕事をこなしているのに、妊娠・出産によってその評価は一転したあみさん。仕事ぶりとは関係のない、ご自身ではどうすることもできない部分で会社の扱いが変わってしまっても、それを受け入れるしかない状況も見えてきました。

 

それでも育休明けの復職時はやる気がみなぎっていた

―育休明け、復帰されてからの状況はどうでしたか?

復職時、私自身は「やればできる!」と自信満々でした。時短勤務だし子供の体調などで休むかもしれないけど、在勤中にきちんと働くことはできるし、会社もワーキングマザーである私を一応は受け入れたわけで…やるべきことと責任は他の社員と同じだと思っていました。ワーママだからと甘える気持ちはつゆほども思っていなかったです。

でも、社内は違ったんです。私は会社でのキャリアやできることの前に、「ワーキングマザー」の大きなレッテルを貼られていました。

―具体的にどういう部分でそう感じたのでしょうか?

「16時で帰るから」から「この仕事」っていう仕事の振り分けがまずあって。時間が本当に理由ならそれはまだ分かるんですけど、時間以外を理由に「ワーママだからこれは任せられない」と判断されるのが一番くやしかったですね。

仕事に慣れた私よりも、残業ができる新人や派遣スタッフに重要な仕事がいって…私は16時で帰るかもしれないけど、1時間でこなせる仕事量はその子の2倍3倍できるのにって。経験がある分費用対効果は高いよ~と(笑)心の中で叫んでいました。

「いつ休むかわからない」という判断に関しては、それはワーママに限らずだし、本来はカバーし合うのが組織の力だと思うのですが、当時会社を休む人なんてほとんどいなくて…休むことが本当に特殊なことっていう会社だったんですよね。
勤務時間が短い人も、休む人も、戦力外扱いだったんです。

―そういった対応をワーキングマザーのあみさんに配慮しての采配とは思いませんでしたか?

仕事に貴賎なしって言葉がありますけど、正直明らかに仕事の質は低くなりました。なんというか、私はパートのような感じ。子持ちのリスクは自分でも理解していましたから、第一線だなんて言わないけど、多分うまく使ってほしかったんですよね。

それまでの経験は全くスルーされて、やらせてもらう前からワーママを理由に仕事を制限されちゃうって精神的ダメージは結構大きいですよ。心を引き裂かれながらまだ1歳の子供を預けて、それでも働こう、キャリアを継続させようって決心して来てるわけですから。

妊娠出産による不利益な配転は問題とされる一方、「不利益」と断定するのが難しい場合も。しかしワーキングマザーは、キャリア継続やキャリアアップもきちんと考えた上で働くことを選んだ方も多く、それは子連れでの転職理由が「働きづらさを感じた」「復職後のやりがい」「キャリアアップ」といった回答が圧倒的に多くなっていることからも伺えます。

ワーママが転職を考える理由第1位は?

Q.子供がいる状態で転職活動を始めた理由を教えてください(複数回答可)。

  • 1位. 子持ちで働きづらさを感じたため:80(25.9%)
  • 2位. 復職後やりがいを感じられなかった:51(16.5%)
  • 3位. 子持ちの状態でキャリアアップが見込めなかった:48(15.5%)

引用:https://www.qo-ol.jp/

*後編、「妊娠・出産で断たれたキャリアと昇進【インタビュー連載】家族とキャリアと私(3)後編」へ続きます!

取材・文:A.O

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