高校受験に比べると圧倒的にマイナーな中学受験。そのため、中学受験の意味がイマイチ分からず、「中学受験なんて親のエゴ。意味ない。」と思っている人も大勢います。
しかしそれは大きな間違いです。むしろ右に習えで進学する「公立中学」には【見えないリスク】が潜んでいることをご存じでしょうか…?
この記事では、中学受験の意味を突き詰めて考えると共に、公立中学に進むリスクをお伝えしていきます。
「中学受験をするか迷っている。」「公立中学の実態がイマイチよく分らない。」このような方は、是非続きをご覧下さい。
目次
中学受験の失敗についてはこちらで紹介しています。
中学受験のメリットはこちらで紹介しています。
1.中学受験は「意味ない」と感じるワケ
近年、私立中学の受験数はジワジワと増え続けています。
その理由は、
- 私立の教育方針や教育内容が効率より優れている
- 私立中学の生活指導が良いと思った
- 私立中学に進んだ方が、後の大学受験に有利だと感じる
といった理由が挙げられます。
中学時受験は、高校受験よりも難易度が高いと言われています。その理由は、小学校で習わない範囲が試験範囲とされているため、多くの学習を必要とするからです。
「とはいっても私立中学の偏差値ってそこまで高くないよね…」と思うかもしれませんが、私立中学の偏差値は大学の偏差値で置き換えると大学の偏差値より+10したくらいのレベルだと言われています。
理由は、私立中学を受験する母数が少ないためです。
現在の日本では、偏差値40の私立中学に入学する子でさえ、一般の小学生と比べると学力の高い子でないと入学は難しいでしょう。
しかし、なぜ「中学受験は意味ない。」と感じる人が多いのでしょうか?その原因を探っていきましょう。
(1)「のびのび育児」の意味をはき違えている
様々なメディアで中学受験の過酷さがクローズアップされる今、「自分の子にはこんな辛い思いをさせたくない!」、「もっとのびのび育てたい!」と感じている人もいるでしょう。
子ども時代にのびのび自由に過ごすのは大変よいことだと言われています。「外遊び」や「運動遊び」は子どもの健全な成長にも欠かせません。
しかし、「のびのび」と「放置」をはき違えている親が少なくありません。
「我が家はのびのび育児だから、宿題は子どもの自主性に任せている。」という親を見かけますが、大抵の場合、子どもはきちんと宿題をしていません。「宿題」という最もベーシックな学習すら疎かになっている場合、中学校に進学して困るのは「子ども自身」です。
- 小学校まで学習習慣がなかったため、中学校の授業について行けない
- 中学の定期テストの成績が悪く、落ちこぼれになっている
- 成績が悪いのがコンプレックスになり、登校拒否になる
など、親のサポートがなかったために辛い思いをする子も出てきます。
幼少期に親がペースメーカーとなって学習リズムを作るのは、子育てのベースとも言われています。中学受験の有無に関わらず、是非行うべきでしょう。
(2)【中学受験=詰め込み教育】だと勘違いしている
「詰め込み教育の時代はもう終わり!」「子ども勉強を詰め込む中学受験は、これからの時代に合わない。」このような考えを持っている人もいるでしょう。
確かに中学受験は根詰めて勉強する時期が必要です。小学校で習うレベルを大きく超えた内容を学ぶため、簡単に理解できるものでもありません。
しかし、一つだけ言えるのは【中学受験の勉強は決して詰め込みではない】ということです。むしろ、中学受験の内容は詰め込みなんかでは到底太刀打ちできません。「詰め込んで覚えるだけで良いならどんなに楽か…。」と思えるほど、思考力と高度な理解力が必要な問題ばかりです。
【中学受験=詰め込み教育】という考えは、中学受験を経験していない人の勝手なイメージ!
実際の中学受験は「考える力」や「説明する力」が非常に求められる、深い内容ばかりなのです。
(3)小学校受験のような「お受験」だと思い込んでいる
中学受験を小学校の「お受験」と同じような感覚でとらえている人がいますが、両者は全くの別物です。
小学校受験は【親が評価される要素】がある試験です。両親揃っての面接や練りに練った志望動機、行動観察や自由遊びなどなど…子どもを通して「親自身」が見られる側面が多々あります。
しかし、中学受験では親は評価対象ではありません。推薦入試やAO入試などもなく、子どもが純粋な「学力」のみで評価される、非常にフェアな試験なのです。
そのため、小学校受験と中学受験を同じものと捉え「意味がない」と判断するのはお門違い。小学校受験と中学受験では、試験内容も評価される対象もほぼ共通点はないのです。
(4)中学受験をさせるのは「かわいそう」だと思っている
「わずか12歳の子に、過酷な競争をさせるなんて可哀そう。」中学受験否定派の人によくある意見ですが、果たして本当にそうでしょうか?
・週2~3の塾通い
・膨大な宿題
・数えきれないほどの模試
・努力しても合格に辿りつけなかった現実
など、中学受験をするなら、普通の小学生が経験することのない「競争」に身をおく覚悟が必要です。考え方によっては、これを「かわいそう」と判断する人もいるでしょう。
しかし、この時点で【中学受験=かわいそう】と判断するのは早すぎます。実は【高校受験をすることこそが可哀想】という側面があることをご存じでしょうか?
中学受験をする親は知っていて、中学受験をしない親は考えたことすらない…!?知られざる【公立中学進学のリスク】を次で詳しくお伝えします。
中学受験の「本当の意味での失敗」はこちらで紹介しています。
2.一種の賭け!?公立中学進学の3つのリスク
公立中学に入学するメリットとしては、家庭の経済的負担が少ないという所が上げられます。
しかし、公立中学は「ガチャ」といっても過言ではないリスクが沢山あるのです。ここからは、公立中学に進学するリスクを3つご紹介します。
(1)リスク①:公立中学は先の予想がしにくい
公立中学は【先の予想がしにくい】という側面を持っています。公立中学は「住んでいる地域」がたまたま同じだった子の集まりです。
そのため、
・ どんな家庭の子がいるのか?
・ 学校の雰囲気はどんな感じなのか?
・ どのような志がある子が多いのか?
などが予想できず、各家庭の教育方針に合わせた学校選びができません。
子ども達は、中学入学後6年間で「高校受験」と「大学受験」という、人生を左右するような大きな試験を2つも受験します。公立中学に行くということは、この大事な時期の学習環境を、ある種「賭け」に近い感覚で選択する行為とも言えるのです。
(2)リスク②:高校受験には「内申点」が響く
高校受験には「内申点」が大きく関わります。
・ 日々の生活態度
・ 授業にのぞむ姿勢
・ 提出物をきちんと提出しているか
・ 部活やクラブ活動での状況
など、内申点は「中学生活のありとあらゆる生活態度」が評価の対象になります。
中には入試の点数と内申点が五分五分で評価される学校もあるため「学力は足りているのに、内申点が悪いせいで入試で満点近く取らないと合格できない…。」なんて事態も起こり得るのです。
思春期真っただ中の子の生活態度を、あなたはコントロールできる自信がありますか?
口すら聞いてくれない我が子を改善するのは、かなり難しいと思いませんか?
子どもの高校受験をサポートするのは、ある意味中学受験をするより大変なことなのです。
(3)リスク③:受験勉強を「中3」で初めて経験する
公立中学に進学すると、「受験はまだ3年後」という意識で親子共に呑気に構えてしまいがちです。
しかし、中高一貫校は違います。高校受験がない分、中1から大学受験を見据えた学習計画を立てており、高2までに高3の内容をやり終える学校がほとんどです。
大学受験では、このような子ども達と肩を並べて受験に挑まなくてなりません。「大学受験」のみにフォーカスすれば、公立中学進学は圧倒的に不利なのです。
(4)番外編:中学受験をしないなら「英語」を鍛えるべし!
ここまで「公立中学のリスク」をお伝えしましたが、公立中学に進学しても大学受験で有利になるワザがあります。それは、中学受験の勉強をしない代わりに「英語」を鍛えることです。
実は、中学受験組は国・算・理・社の勉強が忙しく、英語まで手が回っていないケースが少なくありません。「公立中学に行かせる」という決断をしたなら、そのスキを狙うべく「英語」をどんどん鍛えましょう!
ここまでお読み頂き、中学受験にどのような印象を抱きましたか?
「中学受験の意味やメリットは分かった。でも、やっぱり中学受験は一部の教育熱心な家庭の子だけのものだなぁ。」と思った人もいるのではないでしょうか?
しかしそれは違います。実は、中学受験は「普通の子」ほど旨味を多く感じることができるのです。
3.「普通の子」ほど中学受験に意味がある!
「普通の子」ほど、中学受験に意味があるという意見は、果たして本当なのでしょうか?
中学受験の目的は、志望校に合格することです。
しかし、小学生のうちから目標を立てて、努力し、自分で取り組むという過程は、志望校に合格する以上に子供の心身が成長するというメリットがあります。
志望校に見事合格すれば「自分の行ってきた過程」に自信を持てますし、学習以外の面でも子供の精神面に良い影響を与えます。
(1)中学受験は小学生の能力を飛躍させる!
中学受験は、子どもの能力を大きく飛躍させてくれます。
多くの子が遊んで暮らす「小学校の数年間」を、勉強に当てるのは簡単なことではありません。困難を乗り越えて合格を手にした子ども達は、「へこたれない精神力」と「大きな自己肯定感」を手に入れます。
「この子がこんなに頑張れる子とは思わなかった!」と親が驚くほど、信じられないほどの飛躍を遂げる子も少なくないのです。
(2)私立中学には「普通の子」を伸ばす環境がある
公立中学は、良くも悪くもみんな一律。個を伸ばす環境は期待できないため、勉強やスポーツが平均的な子は、ある意味埋もれてしまます。
しかし、私立中学は違います。中高一貫校の中には特色ある教育理念を掲げた学校が数多くあるため、子どもの特性を生かした進路を選択することができるのです。
- 社会で活躍する卒業生を招き、早い時期から目的意識を開花させる
- 医学部生を寮のチューターに迎え、徹底した学習サポートを行う
- 授業の見直し動画配信がある
など、私立中学では実に多彩な取り組みが行われています。「普通の子」を大きく飛躍させる環境が、私立中学にはあるのです!
また、志を高く持った仲間が大勢いるのも、私立中学の良いところ。「最初は勉強が嫌だったけど、みんなが頑張る姿をみてやる気が出た!」など、素晴らしい相乗効果が期待できるのも魅力の一つと言えるでしょう。
中学受験は、まさに【朱に交われば赤くなる】を体現できる環境と言えそうですね。
(3)中学受験の偏差値50は高校受験の偏差値60!?
同じ中学・高校でも、中学から入学するのと高校から入学するのとでは、偏差値が大きく異なります。
中学受験は学力を磨き上げたトップ層の小学生が挑む試験。全体的なレベルが高いため、どうしても偏差値が低くなる傾向があるのです。一説では、中学受験の偏差値50は、高校受験の偏差値60とも言われているほどです。
このような高いレベルの母集団に身を置くことで、「普通」と思っていた子が思わぬ成長を遂げることがあります。
- 入塾当初は最下位レベルのクラスだったのに、入試直前には最上位クラスまでのし上がった!
- 負けず嫌いの根性で努力を続け、親が驚くほど成績が伸びた!
など、お子様の「知られざる一面」が開花することもありますよ。
いかがでしょうか?中学受験は教育熱心な家庭の子だけでなく、「普通の子」にも大きなメリットがあることがお分かり頂けたと思います。
しかし、皆さんご存じのように、中学受験は良い面ばかりではありません。次では、「中学受験は意味なかった…。」という状況になった3つの事例をみていきましょう。
4.「中学受験=意味ない」になった3つの事例
(1)親の言いなりだった中学受験
中学受験経験者の大学1年生です。自分が中学受験をした理由は、「親に言われた」から。これに尽きます。
ある日突然、何の前触れもなし「〇〇塾に行きなさい。」と親に言われ通塾が始まりました。実際に塾通いが始まると、学校で習う勉強との違いに戸惑う日々。何度も辞めたくなって親に相談しましたが、「中学受験をすれば高校受験をしなくていいから!」と言う言葉に押し切られて受験をしました。
結果、電車で片道1.5時間かかる私立中学に入学したものの、1年で不登校になりました。当時は「とにかくダルイ」という気持ちだけでしたが、今考えると【自分の意志がどこにもなかったこと】が不登校の原因だと思います。
「自分はこの中学に行きたい!」という強い気持ちがあれば、片道に何時間掛かろうと苦ではなかったはずです。中学受験の核となる一番大事な部分が、完全に抜け落ちていたんだと思います…。
(2)エスカレーター式を当てにし過ぎた中学受験
私達夫婦は、我が子があまり勉強が得意ではないことを見抜いていました。だからこそ親の手が届く小学生のうちに勉強をして、付属の高校・大学にエスカレーターで進む作戦を思い描いていたのです。
進学塾に加え、中学受験のスペシャリストと言われるスーパー家庭教師も雇っていたためかなりの費用を要しましたが、その甲斐あって娘は有名大学の付属中学に進学!これで安心と思っていたんですが…実際は違いました。
娘は「中学にさえ入れば勉強しなくていい。」という親の言葉を真に受け、家庭学習を全くしなくなったんです。何か言うと「ママが勉強しなくていいって言ったじゃん!」と言われ、言い返すこともできません。結局、内部進学は叶わず現在2浪目です。
(3)指定校推薦の理想と現実
大学の指定校推薦目当てで、子どもに中学受験をさせました。でも、6年後の今、私達家族は窮地に立たされています。
息子の通う学校には指定校が余るほどあるのですが、先立つものが無くなってしまったんです…。私立の中高一貫校は、学費だけで年間100万円、6年間で600~700万円のお金が必要です。それ以外にも教材費や制服代、通学費など、沢山のお金が飛ぶように消えていきました。
学費が掛かるのは最初から分かっていたことですが、夫の会社が傾き収入が大きく減ったのは予想外で…。
一生懸命学費を払って卒業できそうなのに、指定校推薦で私立大学に行く余力がうちにはもうありません…。子どもに何と説明すればいいやら…。頭が痛いです。
中学受験を意味あるものに!親は「覚悟」をきめよう
「中学受験は意味なかった…。」そんな悲しい結末を避けるためには、親が覚悟を決めて、計画的に未来を見据えることが重要です。
・ 教育資金や教育方針など、夫婦の意見を一致させる
・ 中学受験を子どもに強制しない
・ 受験勉強で「怒る」、「叱る」は封印する!
・ どんな時でも子どもの味方でいる
など、多方面から子どもをサポートすることを意識しましょう。
「中学受験・失敗」では、中学受験の親の心構えや具体的なサポート方法を、さらに詳しくお伝えしています。是非合わせてご覧下さい。
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