#女性の生き方 2021/04/19

【インタビュー連載】家族とキャリアと私(2)~小1の壁と私のキャリア~

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社会の仕組み、育ってきた環境、教育、メディアなど、さまざまな影響に縛られている私たちが
自由な生き方に出会えるメディア「PRIME」。

We must be free!をテーマに、様々な女性のストーリーをご紹介するインタビュー連載「家族とキャリアと私」。ひとりひとりの人生にフォーカスし、女性のあらゆる選択と生き方を肯定する人気シリーズです。

第2回目のインタビューを受けてくださったameさん

ameさんは編集者として正社員で働く5歳と1歳のママさん。
新卒入社した会社で15年近くキャリアを重ねてきた30代のワーキングマザーです。

そんなameさんの女性のキャリアにまつわるツイートが話題になっています!

 

 

「小1の壁」にキャリアを手放すワーママたち

“小1の壁”は検索エンジンでは2008年ころから出現し始めた言葉。 保育園・幼稚園に通っていた頃と比べて仕事との両立が難しくなったり、子どもへのサポートが必要になったりすることを指して使われている言葉です。

引用:news.yahoo.co.jp

2008年頃からということは、15年近く経った今でも解消されていないということ。
そして、今ツイートしても大きな反響と共感を得ていることからも、働く女性やワーママにとって大きな問題となっているということでしょう。

PRIMEではその「小1の壁」の渦中にいるツイート主のame 5y&1yさん(@amewntb)にお話を聞くことができました。

ー今回のツイートの背景を簡単に教えてください。

長男の小学校入学を前に、会社は変えず、働き方をパートにしようと考えていました。
先輩ママにそんな話をした時、小3と年長の子を持つ彼女から言われたのがツイートの言葉でした。

ー新卒入社から15年も続けてきたキャリアを捨ててまで、なぜそのタイミングでパートへの変更を考えたのでしょうか?

想像でしかないのですが、小学校には夏休み、冬休みがありますよね。
両家とも遠方の両親には頼れないため、長期休みの子供の過ごし方に不安があり、自分が自宅にいられることを考えました。

ー小学生には学童保育があると思うのですが?

正直、学童保育は他の方の話を聞く機会もなく、自分が体験していないのもありイメージしにくいです。
人手不足が取り沙汰されているのを目にするとケアの面で不安も感じます。
そもそも、うちの子の性格が学童に合うかどうかも心配しています。

目にしたニュースなどによって学童に不安を感じるのは当然だと思います。また、保育園と違い、学童指導員に資格は必要ではないため、勤務形態はパートやアルバイトのケースが多く学生も就ける職種です。
公立の学童保育(放課後児童クラブ・学童クラブ)は民間とは違いサービスやアピールしないことも多く、情報の可視化が難しいのかもしれません。

先が見えない「小1の壁」の世界。それでも自分のキャリアを考えた。

ー自分の知らない世界へ我が子を行かせるのは心配ですよね。お子さん同様、ameさんご自身についてはいかがでしょうか。

そうなんです。私にとっても初めての小学校生活になるので、自分もやりきれるだろうかという心配もあります。18時に帰宅したとして、今でもバタバタの中、さらに宿題や明日の準備まで見守ってあげるなんて果たしてできるのか…想像がつきません。

保育園が働く親に寄り添った施設であるのに対し、小学校は働く親にとって全く違う環境になるのは確か。
そして慣れてくるまで思ったよりもフォローが必要なのが一年生です。
ameさんも漠然と長男の小学校進学に合わせてパートへの変更を考えていたそうです。

当事者である先輩ママの一言にリアルな重みを感じた

―しかし、先輩ママからの一言で思いとどまったのですね?

子供は成長するしいつか手が離れるもの。一時のために、培ってきたキャリアやスキルを手放してしまうことに躊躇いを感じるようになりました。
40代の先輩ママが正社員を希望してもなかなかなれない現状を目の当たりにしたのもきっかけになったのかもしれません。結果、同社でパートになる予定から、正社員で全く別業界への転職を考え始めました。

―子供が生まれても15年続けてきた自身の職業アイデンティティには強い思いがあるはず。それでも別業界を選ばれたのですか?

今の仕事は好きで、思い入れもあります。でも、会社に40~50歳のロールモデルがいないのと、子供が生まれてからいつかは働き方を変えなければならないとなんとなく考えてきたので、正社員としてのやりがいは求めつつワークライフバランスが叶う場所を探してみようと考えを変えました。

―熟考の上決断されたのですね。そもそもワーキングマザーが転職に足踏みしてしまう理由は何だと思いますか?

子供が小さい場合は、いつ休むかわからない不安が大きいと思います。新しい職場で休みをもらうのは言い出しにくいので、それなら慣れた場所のほうが休みやすいのではないでしょうか。小1の壁では、その壁が控えている中でキャリアの変更は不安が大きく、及び腰になってしまいます。

子供の成長に合わせて働き方を変えていくのは本来当然の選択。しかし、子育てをしながらの転職はママ本人の大きな負担に。
また、PRIME世代によくある「社内にロールモデルがいない」という不安。本来、経験ある社員の流出は会社の損失でもあります。職場側にもそのしくみがあることが理想ですが、旧態依然とした会社ではワーキングマザーの受け入れ自体まだまだなケースも。

考え方を変えてよりベターな働き方に出会えた

―それでは実際転職活動をしてみて、良い職場は見つかりましたか?

まだ決まってはいないのですが、学校関係の仕事に絞って転職先を探しています。子供の長期休暇中も負担なく正社員として働き続けられるのが分かったので。

―全く別の業界と仕事ですね!それでも、慣れた仕事と会社でパートになるよりは正社員で転職を選ばれたのですね。

はい。心身ともにキツイ状況で苦労を続けるよりも、モチベーションが保てて正社員としてキャリアが積めるほうを選びました。夫にも協力してもらうことにしました。

―今回の一連の流れで、ワーキングマザーの働き方や小1の壁における課題が見えましたか?

情報の届き方が大切だと思いました。今までも必要な情報を探してはいたし、見てきてもいたんです。でも、不安要素を自分で探さなければいけなかったのを先輩ママの一言ですごくクリアになったんです。

しかも私はキャリアコンサルティングの部署にいたこともあって、そこでは他の人の背中を押しててきたのに自分のこととなると無理だと考えていました。うちの子の性格はこうだから…聞いた学童の話がこうだったから…と。自分以外の理由で決めつけて、そう思い込んでいたんだと思います。

―とても分かります。自分も未経験なこと、ましてや大切なお子さんのこととなると答えが分からなくなったり迷いがあって当然ですよね。ではそうして悩んだ末、今出した「新しい働き方」という答えについて、今はどんなお気持ちでしょうか?

15年間、井の中の蛙だったので新しい世界を感じられるのは楽しみです。今、転職に関してはとても前向きです。あと、思い返すと私も母が働いていたので、両親が働くのは当然だったし働く母と家の母が全然ちがうのはカッコイイと思っていました。

今回のことでこうして自分の中で変化があったので、これからは働く姿を子供たちにきちんと見せていきたいです。そして働くことを当たり前だと思ってほしいし、子供たちにも選択肢をたくさん持っていてほしいです。

<編集後記>

小1の壁は依然として根強く、パートへの転向や退職など女性のキャリア形成における課題であることがわかります。

ameさんも、小学校入学を機に、漠然と正社員からパートへのキャリア転向を考えていました。
しかし、自分の数年先を今歩む先輩ママから聞いたリアルな経験談が、自分にとってベターな道を模索しなおすきっかけになっていました。ただ、それは長く家庭、子育て、仕事と幅広く身を置いてきたワーキングマザーのameさんだからこそ、多様な考えを持ち、柔軟な対応ができるのでしょう。

ご自身が母の働く姿を目に焼き付けてきたように、ameさんのお子さんも彼女の背中からさまざまなことを吸収していくのだと感じました。

 

取材・文:A.O

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