社会の仕組み、育ってきた環境、教育、メディアなど、さまざまな影響に縛られている私たちが
自由な生き方に出会えるメディア「PRIME」。
We must be free!をテーマに、様々な女性のストーリーをご紹介するインタビュー連載「家族とキャリアと私」。ひとりひとりの人生にフォーカスし、女性のあらゆる選択と生き方を肯定する人気シリーズです。
第1回目のインタビューを受けてくださったゆうこさん
ゆうこさんはアラフィフのママさん。
第1回PRIME座談会に参加してくださったPRIME世代より少し上の先輩ママさんで、社会人になったばかりの娘さんが2人います。
ぜひお話を聞いてみたいと編集部メンバーがお声がけしたところ、
当初「同世代の中の大半の母親の生き方ですよ。専業主婦でパート勤めだし、皆さんみたいなストーリーなんてありません。」とおっしゃっていました。
「その世代の女性のオーソドックスな生き方」と聞いてなんとなくイメージが沸いたのは事実です。
しかしお話を聞くと、全然お決まりの人生なんかじゃない、ゆうこさんの筋の通った、そして夢とやりがいで満たされた素敵な人生が見えてきました。
子育てのために専業主婦の道へ
横浜在住のゆうこさんは、長野から就職を機に上京し、2000人規模の企業で人事の仕事をしていました。
結婚を機に退職し、その後、専業主婦として子育てに専念。下のお子さんが小学3年生の頃にパートでまた働くようになったそうです。
―人事というキャリアを積める仕事を手放すことに抵抗はなかったんでしょうか?
もともとは地元で教職に就きたかったのですが、当時地方で教職に就くのは狭き門でした。私が短大卒だったのもあるかもしれませんが…。地元での就職が難しかったことに加え、「都会で働いてみたいな」という気持ちも少しあり上京を決意し、就職しました。なので、人事というキャリアに大きなこだわりがあったわけではないんです。
そして、何よりも私たちの時代は、寿退社が当たり前でした。
―出産し、子育てをしながら再び働こうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?
下の娘が小学3年生の時、近所の塾でパートを探していると聞き、先生+事務のパートを始めました。そのほか託児所の手伝いもやりました。
ただ、そこは座り仕事と自分一人でこなす作業が多く、もっと子供と積極的に関わりたいと思い、5年前に塾兼学童のようなところを見つけ、新しい仕事を始めました。今もそこで働いています。
―すごく積極的にお仕事を開始されたのですね。お仕事も一貫性があるようですが、もともと子供や教育に興味がおありだったのですか?
初等教育学科を卒業し、小学校教員免許と幼稚園教諭免許を持っています。
当時短大のカリキュラムが濃くてとても大変でした…(笑)
そのことがきっかけで、その時のメンバーとは卒業後もずっと関係が続いていて、教育に携わる人達と常に情報交換の場がありました。そこで刺激を受けて働く考えや意欲が生まれていたんだと思います。
当たり前のように結婚を機に専業主婦の道へ入ったゆうこさん。
物腰柔らかで優しい印象の方ですが、お子さんの成長とともに、すぐ働くことを選択し、またご自身の経歴をきちんと活かせる仕事に就かれたのは信念を持った女性に感じました。
コミュニティでの活動と自分の価値
―そんな環境や意欲がある中でも、仕事を辞め家庭に専念されていたのですね。働くまでの専業主婦の生活はどうでしたか?
子供が小さいうちは「働いていない」とか「社会と繋がりたい」とかそんなことは頭に浮かぶことさえなかったと思います。
その時は今でいうママ友だったり子育てのコミュニティがあったので、つまらないとか孤独だというようなこともなかったと思います。
―ご主人の稼ぎだけでも生活できる中で、働き続けるのはなぜでしょうか?
子供が手離れしてきた時に、なんとなくずっと家の中は嫌だと思い、
PTA、地域のコミュニティ、町内会のボランティアなどの活動には参加していました。
もちろん子供は可愛いし、「我が子が全て」と子供に依存してしまう友達の話も聞いたりしますが、子供はある日突然、親がうっとおしくなったり、自立の道を歩み始めます。
その時に私にも何か子育て以外のものがあることは、割と大切なんじゃないかというのはずっと思っています。
コミュニティで人とのつながりがあったことで、家庭での閉塞感は感じなかったというゆうこさんですが、
外とのつながりを積極的に持つことをはじめ、社会の中で活動することへの思いはずっとお持ちだったと感じました。
ただ、PRIME世代がこうした小さなコミュニティをいきなり見つけるのは意外と難しいもの。結婚、新居、妊娠とステージごとに事前のリサーチや人間関係の構築は必要かもしれません。
自分の稼いだお金で、気持ちよく趣味を楽しみたい
―働くことへの考え方と情熱がすごく伝わりました。その他に、ライブ観覧やテニスがお好きとのことですが、それは働くことと関係していますか?
言われてみると、確かに関係しているかもしれません。今は趣味で自分が楽しみたいことがあるのでそこに使うお金が必要というのはあります。
―「仕事は夫・家事育児は妻」できちんと成立してきたご家庭なので、夫の給料で妻が趣味を楽しむのも何の問題もないと思うのですが?
夫はそうしても何も文句は言いませんし、自分もサザンオールスターズやユーミンが好きなので、私と一緒にライブに行ったりすることもあります。
でも、なんとなく私の趣味に賛成してくれたとしても自分で稼いだお金で気持ちよく使いたいんです。金銭や家計どうこうというより気持ち的な問題ですかね。
あとは、その趣味が生きがいにもなり、結果働く糧にもなっているというのは間違いないです。
―働く理由がすごく素敵ですね!良いシナジーが生まれているんですね!最後に、ゆうこさんにとって、働く意味・やりがいを教えてください。
仕事に行くのが面倒な時ももちろんあるけど、(勤め先の)子どもと一緒にいると楽しいって思える瞬間がたくさんあるんです。
子供が喜んでくれるのはこちらも嬉しいし、言葉かけ一つで子供はがらっと変わるんですよね。
たった一言でヤル気が出る子を見ると、次はこんな言葉をかけてみようと色々考えています。
子供の心理を読むのも面白いですし、前向きな子どもの変化はとても喜ばしいことです。働くこと自体が楽しいです。
ご家庭できちんと役割分担されつつも、ご自身の楽しみをさらにブラッシュアップするため、自分で稼いだお金で趣味を楽しみたいというお話はとても印象的でした。さらにそれが職場での力になっているのも素敵ですね。
<編集後記>
ゆうこさんの時代には当たり前だった「結婚や子育てを機に家庭に入る」という女性の働き方と選択。
ご自身もそうだと思っていたように、一見典型的なルートを歩んできたように思えますが、学生時代の学びを活かし、やりたかったことを着実に叶えているストーリーは彼女の芯の強さと仕事への真っ直ぐな思いを感じました。
また、昔からの仲間や地域の小さなコミュニティまで大切に関わってきたことも、ゆうこさんのアイデンティティを育む力になっていると感じました。
「皆さんみたいなストーリーなんてありません。」と謙遜していたゆうこさんの人生には、確固たる信念と夢を持ち続けた素敵なストーリーがありました。
取材・文:A.O
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