昔、ウェディングのサービスに関わっていた時、結婚式の歴史について調べる機会があった。
その時知って衝撃だったのは「恋愛結婚イデオロギー」という言葉だ。
恋愛小説やトレンディドラマだけが、人生の正解じゃなかったんだ!という驚き
恋愛結婚イデオロギーとは、「愛・性・結婚」が一致した家族が正しい、という近代ならではの考え方。つまり、「恋愛相手と、性交渉を持つ相手と、結婚相手は一緒じゃなきゃ駄目ですよー」という考え方だ。
ロマンティック・ラブイデオロギーとも呼ばれることもある。
私はこれを知って衝撃だった。
だって、恋愛結婚イデオロギーが近代ならではの考え方、ということは、近代以前は、愛・性・結婚は一致してなかったってことでしょ?!
「愛・性・結婚の相手って、一致してなくもいいんだ!?」って驚きじゃないですか?
私は、人として生まれてきたら、りぼんの漫画のように恋をして、月9ドラマのようなプロポーズを受け、サザエさんのように子育てをし、チャーミーグリーンのCMみたいな老後を送らなきゃいけないと思っていた。
それが、人間の遺伝子に組み込まれた性なんだと。
でも、全然そんなことないらしい。
調べてみると、たとえば、フランスでは、近代以前の恋愛は、結婚と関係ないところで成されるものだったそう。つまり、不倫ばっかりだったということ。
結婚した身分の高い貴婦人にラブレターを送る騎士道的恋愛というプラトニックラブや、宮廷内で騎士が主君の妻と恋愛関係になって肉体関係になっちゃう宮廷風恋愛が普通に公に行われていたらしい。
日本でも、家同士のつながりを重視するようなお見合い結婚が主流で、恋愛と結婚は切り離されていた。
さらに、少なくとも男性は結婚後も恋愛をすることが許されていて、愛人関係が普通に存在していた。結婚と恋愛と性が普通にバラバラだったのだ。
(既婚女性が愛人を持つことは姦通罪とされ、刑事罰の対象だったのも驚きだけど、それはまた別の話。)
結婚と恋愛と性を一緒くたにすると苦しくなる?
結婚と、恋愛と、性交渉は別々なことが普通とわかると、私の婚活がうまくいかなかったことも、なんだか合点がいく。
だって、私が好きになる相手は、ことごとく結婚には向かないような人ばかりだった。お見合いで出会った相手に、りぼんの漫画で読んだようなトキメキを感じることはなかった。
そして、トキメキを感じない相手と体を重ねる気持ちになど到底なれないように、完全に脳みそがプログラミングされていた。
でも、それは、メディアや教育や社会に私が染め上げられていただけ。恋愛と結婚と性が一致していないからといって、人間として私に欠陥があるわけじゃないらしい。
私は、大好きだった元夫と結婚生活がうまくいかなかった自分、そして子どもの父親とも家族を築くことを選ばなかった自分に大きな欠陥があると思っていた。
でも、恋愛結婚がイデオロギー、つまり、数ある考え方のうちのひとつ、それがたまたま今の社会の主流なだけ、というならば、私が不良品なわけじゃないんだ!
そんな風に思えたら、なんだか気持ちがものすごく楽になった。
20代の頃に、この考え方を知っていたら、私の人生、結構変わったかもしれないなぁと思うので、誰かに届くといいなと思って、noteに書いてみました。拙いながら誰かの心を軽くできたら嬉しいです。
<ライタープロフィール> みわ
30代/未婚シングルマザー/細かいことは気にしないタイプ/知らない世界を知ることが好き/何かを見に行ったり都会の街をあてもなく歩くのが好きなワーキングマザー